2024/04/16(火)
間欠性跛行について
カテゴリー:院長ブログ
間欠性跛行:歩行時の痛みやしびれが語る体の声
歩いていると、ふくらはぎや足全体に痛みやしびれが生じ、歩けなくなる…
そんな経験はありませんか?これが**間欠性跛行(かんけつせいはこう)**と呼ばれる症状です。
1. 間欠性跛行とは?
間欠性跛行とは、歩行中に下肢に痛みやしびれなどの症状が現れ、一定時間休むと改善するものの、再び歩き出すと症状が再発する状態です。
2. 原因
間欠性跛行の原因は大きく分けて2つあります。
- 血管性: 下肢への血流障害が原因で起こる。閉塞性動脈硬化症などが代表的な疾患。
- 神経性: 神経圧迫が原因で起こる。腰部脊柱管狭窄症などが代表的な疾患。
3. 症状
間欠性跛行の主な症状は以下の通りです。
- 歩行中の下肢の痛みやしびれ
- ふくらはぎの痛み
- 足の冷え
- 歩行距離の短縮
- 安静時の症状がない
症状は歩いたり立ったりした時に悪化し、座ったり横になったりすると改善することが多いのが特徴です。
4. 血管性跛行
4.1 閉塞性動脈硬化症
動脈の内側にプラークと呼ばれるコレステロールなどの物質が蓄積し、血管が狭くなる病気です。下肢への血流が不足すると、歩行時に筋肉が酸素不足となり、痛みやしびれなどの症状が現れます。
4.2 症状
- 間欠性跛行
- 足の冷え
- 足の皮膚が薄くなる
- 足の毛がなくなる
- 壊疽(足が腐る)
4.3 診断
- 問診
- 診察
- 足関節上腕血圧比(ABI)検査
- 下肢動脈エコー検査
- CT検査
- MRI検査
4.4 治療
- 生活習慣の改善(禁煙、食事療法、運動療法など)
- 薬物療法(抗血栓薬、血管拡張薬など)
- 手術療法(バイパス手術、カテーテル治療など)
5. 神経性跛行
5.1 腰部脊柱管狭窄症
背骨の中の脊柱管が狭くなることで、中の神経が圧迫される病気です。神経が圧迫されると、下肢に痛みやしびれなどの症状が現れます。
5.2 症状
- 間欠性跛行
- 腰痛
- おしりの痛み
- 下肢の脱力感
- 排尿障害
5.3 診断
- 問診
- 診察
- レントゲン
- MRI検査
- CT検査
- 神経伝達速度検査
5.4 治療
- 保存療法(薬物療法、理学療法、装具療法など)
- 手術療法(椎間板切除術、除圧固定術など)
6. 予防
6.1 血管性跛行
- 禁煙する
- コレステロール値や血糖値をコントロールする
- 適度な運動をする
- 肥満を解消する
- 正しい姿勢を保つ
6.2 神経性跛行
- 加齢による背骨の変形を予防するため、適度な運動をする
- 肥満を解消する
- 正しい姿勢を保つ
7. 早期発見・早期治療が重要
間欠性跛行は、放置すると症状が悪化し、歩行困難になるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こすリスクも高くなります。
8. 参考情報
- 厚生労働省「閉塞性動脈硬化症」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-083.html
- 日本整形外科学会「腰部脊柱管狭窄症」:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34038397/